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interview

にじのフモトでよろしく#04

ふるさとが夢の舞台になる日。「七戸、変わったね」って
言わせたい。

山口 達也さん

出身地:青森県上北郡七戸町 移住年:2017年
職業:美容師(Salon blank オーナー)

1981年生まれ。青森県内の高校を卒業後、専門学校へ進学。美容師免許取得し、都内、八戸市内のヘアサロンで計16年間勤務。2017年12月、故郷の七戸町内にSalon blank(サロン ブランク)オープン。
妻と長男・次男との4人暮らし。
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ふるさとが夢の舞台になる
Uターン起業。

Uターンは自分の心に従った結果。120%の力を出し切る日々。城下町の区画をそのまま残し、どこか雅やかな雰囲気が漂う七戸町の街並み。レトロな建物が並ぶ商店街の一角に、ヘアサロン「ブランク」があります。
白を基調とした店内はその名の通り “空白”を感じさせ、忙しい日常の中を離れた自分だけの時間を演出してくれそう。そう伝えると、オーナースタイリストの山口達也さんは「店名の由来は“人生、山あり谷あり”ってところかな」と笑います。「『東京で一旗揚げるぞ!』ってがむしゃらにやってた時は、頭の隅に七戸のことがずっとあっても、そういう気持ちにあえて気づかないようにしていたのかもしれないです。七戸に戻りたいって気持ちを自分の中で認めて、『好きだったんだば(好きだったなら)帰ればいいじゃん』って動き出して、今は『大好き』って素直に言えるようになりました。一度来てみなぁが!(来てみてね)、ってね」
東京と八戸でキャリアを積み、ふるさと七戸でついに自らのサロンを開いた山口さん。規模が小さく、人口も少ない町に拠点を移して起業することは一見、不利なようですが、開業後約半年が過ぎた2018年7月の時点で、すでに顧客は170人以上。七戸町内はもとより、青森県内各地から幼稚園児から70代までの男女が訪れます。
「まだまだこれからです。でも、お客様への気持ちが伝わっているのかなと思うと嬉しいですね。どういうお客様でも、今日、私にできることを全部ぶつける。120%出し切るっていうのがモットーなので、そこはブレずにやっていきたいです」。Uターンと起業を成功させる秘訣は、情熱を持ち続けること。山口さんがここに至るまでには、こんな半生がありました。

家族の協力と応援を得て
起業に舵を切る。

七戸町で生まれ育った山口さん。高校卒業後、当時一世を風靡していた“カリスマ美容師”を目指して上京します。専門学校を卒業し、美容師免許を手にすると、都内のヘアサロンで修業の日々が始まりました。朝は誰より早く店に入り、オープン準備を済ませてからカットの練習。閉店後は後始末と明日の準備を整えて、終電間際までまた練習。ハードながらも充実した20代でしたが、帰郷のたびに元気がなくなっていく商店街の様子が、いつも頭の片隅にあったといいます。
そして6年が過ぎた頃、地元に戻ることを決意。しかし独立はまだ先のことと考え、七戸町から車で1時間ほどの八戸市で再び就職します。30歳で、中学校の同級生で美容師の奥様とご結婚。入社4年目、職場でも十分に信頼を得ていましたが、「七戸で起業を」という思いは日に日に膨らんでいきました。資金面やリスクを考え奥様は当初、反対。しかし、次男の出産を機に奥様と子どもたちは七戸町内の実家で、山口さんは仕事のため八戸市内で暮らし、休日しか家族の時間が持てない状況だったこともあり、何度も話し合った結果、家族一丸となって独立・開業を目指すこととなりました。
「家族の協力と応援がないと起業はできない。内装はほとんどインテリア好きの妻が決めてくれました」。カーテンを引けば授乳もできるキッズコーナーをはじめ、スタイリッシュさと使い勝手が無理なく同居する空間は、こうして生まれました。

仲間とともに、ヘアサロンを
町に立ち寄る
きっかけの一つに。

「コンプレックスを隠すためにワンレングスばかりしてきた方をショートボブにカットしたら、『私の髪質でもこんなスタイルができるんだ!』って。そういう笑顔が最高ですね」
2017年秋、山口さんは家族の待つ七戸町へ転居。同12月7日にオープンしたサロンでのこだわりは、初回のカウンセリングにカット以上に時間をかけること。1人1人の希望と髪質や雰囲気をすり合わせ、スタイルのイメージを共有できるまで丁寧に説明します。
営業時間は子育て中のママたちも気軽に来られるようにと10時から。事前予約があれば20時以降も対応するのは、働く人が仕事帰りに寄れるように。貴重な休日は自分自身や大切な人のために使ってほしい、との願いからです。
自身もUターンを機に、ライフスタイルが変わりました。出勤まで余裕ができたので、子どもたちを保育園に送るのが日課。休日は送迎に加えてお風呂も山口さんが担当します。つつじの名所・天王神社は、子どもたちのお気に入りの散歩コースです。
「仕事は自分のスタイルでできるし、帰ると家族が待っててくれる。今、いい感じです」。
意外にも、町内の同業者とも仲が良いとのこと。「オープンする時に挨拶させていただいて、それから交流が続いていますね。お客様とスケジュールが合わない時にご紹介したり、されたり。みんなで七戸を盛り上げていけたらいいと思っているので、ライバルって感覚はないです。『最近、七戸変わったね』って言わせたいし、もっとたくさんの人に七戸に来てほしい。それは一人ではできないことなので。サロンに来ることが、七戸に来る理由の一つになったら嬉しいですね」