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interview

にじのフモトでよろしく#02

静けさと利便性を兼ね備えた
七戸だからできる。

髙橋 悟さん

出身地:青森県青森市 移住年:2018年
職業:医師(しちのへ内科クリニック院長)

1967年生まれ。関東の大学を卒業後、神経内科医として
都内で勤務。その後、青森県内の病院に勤務。2018年6月、
しちのへ内科クリニック(七戸町荒熊内)開業。
しちのへ内科クリニック http://shichinohe-naika.com/

アクセス抜群の
七戸十和田駅前で開業、
クリニックを医療不足解消の
拠点に。

東北新幹線七戸十和田駅南口から、わずか300メートル。町内では13年ぶりとなる新たな診療所「しちのへ内科クリニック」が2018年6月にオープンしました。院長は医業に携わって27年の医師・髙橋悟さん。豊富な経験をもとに、消化器内科・循環器内科・糖尿病内科から心療内科まで、身体と心の不調を幅広くカバーします。
クリニックの理念は「地域・社会が抱えるさまざまな問題に対して医療の立場から取り組み、個人や家族の生きる助けとなる」。臓器や病気を治療するのみにとどまらず、患者や家族が地域で長く暮らすための助けになる診療所を目指しています。
青森市出身で、東京都内や青森県内の病院において勤務医として活躍してきた髙橋さん。理想の医療を実現する場所として七戸町で開業した理由は、2つあるといいます。1つ目は抜群の交通アクセス。「やはり新幹線の存在が大きいですね。青森県内で考えると人口が多い青森市、八戸市まで約15分。範囲を広げても盛岡まで40分、仙台、函館まで1時間半。青森と八戸の都市圏をつなぐ自動車道計画の中でも、七戸は重要な拠点になっていますから、私自身が研修などで移動する場合も、患者さんがいらっしゃる場合にも便がいい。特に駅周辺は、七⼾地区と天間林地区という、町内の2つの市街地を結ぶ地区として都市開発が進んでいますから、将来的に人が集まる地域になると思います」
そして2つ目は、上十三地域※への思い。実は髙橋さんは医師人生の半分以上を上十三地域で過ごし、地域の医療現場を担い続けてきました。「この上十三地域の医療不足を少しでも解消する力になれればと思っています」。
※上十三地域とは…十和田市、三沢市および七戸町を含む上北郡7町村エリアの呼称

苦しむ人を減らしたい。
地域で求められる医療を
幅広く経験

青森市に生まれ、父をはじめ親戚にも歯科医が多い環境で育った高橋さん。歯科医師でなく医師を目指したのは、原因不明の体調不良がきっかけでした。「小学生の頃は野球部で、冬は毎日のようにナイタースキーに行ったり、活発な子どもでした。ですが中学2年生の冬、陸上の県選抜選手が集まる強化合宿がきっかけで体調を崩してしまって。今でいう慢性疼痛(原因となるはずのけがや病気から回復しても痛みが残る症状)のようなものでしょうが、当時は原因究明も治療もできず、辛かったですね」
大人になる頃には症状は和らぎましたが、勉強も運動も思うようにできなかった思春期の経験は、やがて「同じように苦しむ人を減らしたい」という思いに変わっていきました。
医学部卒業後、20代は神経難病を専門とする神経内科医として都内に勤務。救急指定病院だったため、幅広い分野の診療に対応することが求められる現場でした。
30歳を境に青森県に戻ると、六戸町立の六戸病院に就職。ここから、上十三地域の医療の現状を知ることになります。着任した病院は、老若男女さまざまな症状を訴え押し寄せる患者を専門外だからと断るわけにはいきませんでした。空き時間には近隣の病院に依頼し、内視鏡検査や超音波検査などの研修をして、消化器内科を中心とした多様な診療をこなしました。その後十和田市の病院に移ると、もの忘れ・認知症の診療、精神科領域の外来を経験。
「東日本大震災の被災地で働くことも検討していた」という髙橋さんですが、少子高齢化、過疎化が進む中で起こっている深刻な医療不足を目の当たりにして、上十三地域で開業することを決意しました。そして七戸にクリニックを構えたいきさつは、前述の通りです。

忙しい中でも
1人の時間を持つ。
小さな町だからこその
ライフスタイル

診療の中で感じたことがあります。「患者さんが意外と自分の症状について知らない。ご家族もしかりです」。そこからより鮮明になってきた、目指す医療の姿とは。
「大事なのは1人1人が、自身や家族の現状を正しく認識すること。高齢者の場合、さっきまで元気でも急変することもある。症状の情報がないと適切な手が打てず、亡くなるケースもあります。いざという時に悲しい思いをさせないために、患者さんやご家族とのコミュニケーションはますます重視していきたい」。
集中して仕事に取り組むためにも、大切にしているのは1人の時間。クリニックから1ブロックほどのところに新築した自宅では、愛猫の世話や読書をして過ごします。「駅前の便利な場所だけれど、自然も夜の静けさも残っているのが素晴らしい。移住するにしても暮らす上で何を重視するかで行き先が変わると思いますが、静けさの中で自分を見つめ直したいなら七戸町の環境はベストだと思います。生きていく上で、自分を振り返る時間は絶対に必要。そういう時間を持つことで、社会の忙しさの中でもぶれない、生きる力を養えるのでないでしょうか」。自然の中で季節の移り変わりを感じながら生きる。当たり前のようで現代では難しくなっているライフスタイルが、この町では叶います。